今回の患者(車両)は、長年がんばってきたクリッパーバンくん。
「最近、なんだか息切れするんです…」と訴えられ、いざ診察してみると――
エンジン(心臓)が限界!
そこで登場したのが、ドナーのオッティくん(同系統)。
心臓(エンジン本体)はしっかりしていたので、マニホールドやオイルパンなどの外装はクリッパーくんのものをそのまま使用。
まさに全移植オペを決行!
🔧 作業内容
- エンジン本体:オッティのエンジンを使用(ヘッド・ブロック)
- オイルパン・マニホールド類:全て元のクリッパーのものを移植
- オイル管理もバッチリ!内部もキレイでした👌
💡 人間で言えば…
「オッティくんの心臓を、クリッパーくんの服を着せたまま移植しました」
ドナー登録も相性もバッチリで、術後の経過も良好です!



🔧【整備士メモ:エンジン移植の注意点】
今回のエンジン載せ替えでは、見た目は同じでも年式や仕様によって若干の違いがあるため、以下のポイントに気を付けて作業を行いました:
- オイルパンやエキマニは必ず載せ替え → クランク角センサーの形状や取付位置が異なる可能性があるため、元車から外したものを使用。
- ウォーターポンプ・オイルシールなどは念のため新品交換 → 移植後に水漏れやオイル滲みがあると再作業が大変なので、今のうちに予防整備も。
- 補機類(オルタネーター・パワステポンプ等)の取付ステー位置確認 → ボルト位置が微妙に違う場合があり、ベルトの張り調整に一工夫必要な場面も。
- ECU再設定は不要 → センサー類やスロットルボディを元のまま使用すれば、そのままエンジン始動可能でした。
🚙 最後にひと言
見た目は似ていても、エンジンの中身は奥が深い!
「ただ載せ替えればいいでしょ?」と思っていると、細かい違いでトラブルになることも。
今回のように、**“使えるところは活かす”+“確実な下準備”**がカギですね!
🛠【さらに補足:この手法が通用するのは“実は三菱だけ”】
今回のような**「エンジンの骨格だけ使って全移植」**という荒業(?)ですが、実はこれ、三菱車だからこそ可能な裏技です。
💡他メーカーではできない理由:
ダイハツやスズキでは、同じエンジン型式でも…
- ブロック内部のオイルラインの取り回しが異なる
- エンジンマウントの取付ネジ穴が無い/位置が微妙に違う
- センサー位置や補機類の固定ステー形状が違う
など、「なんでこれだけ違うの?」ってレベルで互換性が低く、“全移植”が成立しません。
🔧その点、三菱は素晴らしい!
エンジンマウント用のネジ穴も左右両方に最初から用意されていて、
あらゆる仕様への対応力がある「設計の懐の深さ」が感じられます。
まるで「何が来ても対応できるように準備してある」感じ。整備士としては助かりますし、ちょっと感動モノです。